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はじめに:離婚前に別居を選択する方が増えています
近年、夫婦関係に深刻な問題を抱え、離婚を考えている方であっても、すぐに離婚をせずに一旦「別居」を選択される方が多くなっています。
しかし、別居という選択肢を実際に検討すると、「どんなメリットがあるのか?」「どんなリスクや注意点があるのか?」と不安に感じる方も多いでしょう。
この記事では、別居することで得られる具体的なメリットと、その際の重要な注意点についてわかりやすく解説します。別居後に後悔しないためにも、ぜひ事前に理解しておきましょう。
別居を選ぶ4つのメリット
①冷静な話し合いが可能になる
夫婦関係が悪化している場合、同居しながら問題解決を図ろうとしても、お互いが感情的になってしまい、なかなか前向きな話し合いが難しくなることがあります。別居をすると距離が生まれ、お互い冷静な気持ちで話し合いを行うことができるようになります。
②互いの冷却期間になる
一時的に別居期間を設けることで、お互いの問題を改めて見直し、冷静に将来について考える時間を持つことができます。離れて暮らすことで相手を客観的に見直すことが可能となり、場合によっては「やはり一緒に再構築したい」といった気持ちの変化も起こるでしょう。
③離婚を円滑に進める準備期間になる
別居期間を設けることで、仮に離婚に至る場合でも、そのために必要な手続きや準備を計画的に進めていくことができます。具体的には、財産分与の対象財産の整理、親権や養育費、別居後の生活費の調整などです。
④精神的に落ち着いて生活できる
夫婦関係がこじれたり喧嘩が絶えない状況が続くと、心身ともに疲弊してしまいます。別居をすることで、精神的なストレスを軽減し、それぞれが落ち着いて新しいスタートを切ることができる環境を整えることができます。
別居時の主な注意点とリスク
①生活費・婚姻費用についての取り決めがないと不安定になる
別居をする場合、生活費(婚姻費用)に関する取り決めが必要です。特に専業主婦(主夫)や収入面に不安がある場合は、早期に婚姻費用について話し合い、書面にしておくことが大切です。
婚姻費用とは、夫婦が婚姻期間中にお互いの生活を維持するために負担すべき生活費のことであり、別居をすることで普段の生活費の負担が偏りやすくなるためです。
②子どもの親権や面会交流について事前に話し合う必要がある
子どもがいる場合、別居により子どもとの面会が難しくなることがあります。親権者をどちらにするのか、あるいは別居期間中どのように子どもと面会を行うのかを話し合って書面に残し、感情トラブルを防ぎましょう。
③別居が長期間になると財産分与や慰謝料への影響が考えられる
長期間別居した場合、その間に築かれた財産は共有財産として認められないケースがあります。また、慰謝料請求や離婚時の条件が認められにくくなるケースもあります。別居が長期化する場合は特に注意しましょう。
④別居後の浮気や不倫であっても慰謝料請求の対象となる
長期間別居していても婚姻関係は継続しています。別居後とはいえ法律上の夫婦である以上、新たな異性と性的関係を持つと不貞行為とみなされ、慰謝料請求が認められる可能性が高くなります。
別居を安全かつ円滑に進めるためのポイント
- 事前に合意書を作成する:生活費(婚姻費用)、子どもとの面会交流方法、相手への住所通知方法などを書面にまとめておきましょう。
- 重要書類の整理:別居を前に通帳、保険証券、収入証明など財産に関する重要書類を必ず整理しておきましょう。
- 別居の目的・期間を明確化:何のための別居なのかまた期限を明確にすることで、スムーズな話し合いが可能になります。
別居後の離婚準備と弁護士に依頼するメリット
別居を経て離婚に至ることをお考えの場合、その過程について弁護士による法的サポートを受けることが望ましいでしょう。以下が主なメリットです。
- 婚姻費用についての適切な受給金額の算出・請求を行うことができる
- 財産分与や慰謝料などで公正な条件を整えることができる
- 子どもの親権や養育費、面会交流の的確な取り決めを行える
- 別居期間における不安を解消し、問題解決へのアドバイスを得られる
まとめ:別居前後の適切な対応がその後の選択肢を広げます
離婚につながる可能性がある別居は、事前準備を怠ると、相手方との関係がかえって悪化する可能性があります。別居後に問題をこじらせないためにも、準備や話し合い、取り決めをきちんと行うことが大切です。
当事務所では、離婚問題や別居に関する問題を多く取り扱っています。初回相談1時間無料で弁護士が丁寧に対応いたします。お一人でお悩みになる前に、まずはお気軽にご相談ください。