離婚における協議書の作成と公正証書化の重要性

はじめに:離婚の際の合意事項を書面に残す意義とは?

離婚は人生の大きな転機です。夫婦が離婚に際してさまざまな内容を話し合い、「互いに納得した」と考えていても、口頭での約束だけでは、のちのちトラブルになってしまうことがあります。

そのため、養育費や財産分与などの重要な取り決めを明確に記載した「離婚協議書」を作成し、さらにそれを法的に効力のある「公正証書」にすることが非常に大切です。

このページでは、離婚協議書の作成のポイントや、公正証書化のメリットについて詳しくご説明します。

離婚協議書とは?作成する意味とメリット

離婚協議書とは、離婚を決めた夫婦がお互いに合意した内容を明確に書き記し、紛争やトラブルを防ぐための重要な書面です。

離婚協議書に記載する主な内容

離婚協議書に記載すべき代表的な内容は以下の通りです。

  • 養育費(支払金額、支払方法、期間、子どもの扶養条件など)
  • 財産分与(分割方法、時期など)
  • 慰謝料(必要な場合の額や支払条件)
  • 年金分割手続きについて
  • 子どもの親権者・監護権者について
  • 面会交流の取り決め(頻度、場所、方法など)
  • その他重要事項(例:住宅ローンの取り扱いなど)

離婚協議書を作成する具体的なメリット

協議書を作成する主なメリットは以下の通りです。

  • 約束した内容が明確になる:双方の勘違いや覚え違いを防ぎ、将来のトラブルを回避できます。
  • 証拠能力がある:書面化することで、万が一トラブルが起きても裁判所や第三者に対し、有効な証拠として機能します。
  • 精神的なストレスの軽減:明確な文書が存在することで、相手方によるルール違反や身勝手な言動を牽制できます。

離婚協議書の「公正証書化」とは?

離婚協議書自体は夫婦が自由に作成できる私的な書面ですが、公正証書とは公証役場で公証人の関与の下、作成する書類であり、法的な効力を有しています。離婚協議書を公正証書化すると、次のような大きなメリットがあります。

①養育費・慰謝料の支払が滞った際、「強制執行」が可能になる

公正証書には「強制執行認諾条項」を設けることができます。これにより、相手が養育費や慰謝料等の支払いを怠った場合、相手の給与や銀行口座から差し押さえなどの強制執行が可能になります。

②書類の紛失リスクを防げる

公正証書は公証役場で作成され、公証役場にも原本が保管されます。そのため、自分で保管している文書を紛失しても、再交付を受けることが可能です。

③心理的プレッシャーが働き履行率が高まる

公正証書には上記の強制執行力があるため、支払いを行う側には心理的な圧力がかかり、結果として合意の履行率(約束が守られる確率)が高くなります。

協議書を公正証書化する際の手続きと費用の目安

公正証書作成の手続きを具体的に整理すると以下のようになります。

手続き内容 所要期間 費用の目安
離婚協議の合意と協議書作成 内容に合意次第即時 -(自作無料、弁護士依頼の場合は別途費用)
公証役場への事前連絡・予約 事前連絡後数週間程度 -(予約は無料)
必要書類の持参・作成当日の手続き 1~2時間程度 合意内容で異なる(例:養育費の総額に応じ5,000円~数万円程度)

公正証書作成の費用例として、養育費の取り決めの場合はその総額によって変動します。支払総額が約100万円以下なら5,000円程度、500万円以下なら11,000円程度、1,000万円以下なら17,000円程度という具合です。その他、発行手数料や証人費用などを含めると、実質2~3万円程度前後の費用が一般的な目安となります。

離婚協議書作成を弁護士に依頼するメリット

離婚協議書を作成する際には、法的事項や将来的トラブルのリスクを考慮する必要があります。弁護士に依頼すると以下のメリットがあります。

  • 法的観点から漏れや間違いのない完璧な書類作成が可能です。
  • 内容が有効かつ公平なものであることを確認でき、後々の紛争のリスクを大幅に軽減できます。
  • 公正証書の作成支援や公証人との連絡調整など、手続きを弁護士が代行しスムーズに進められます。

まとめ:協議書作成・公正証書化で安心・安全な未来へ

協議書作成や公正証書化をしっかり行うことは、将来の紛争を未然に防ぎ、あなたとお子さまが安心して新しい生活を始めるための大切なステップです。

当事務所では、離婚に関するご相談を初回1時間無料で承っております。一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

keyboard_arrow_up

0471971166 問い合わせバナー 事務所紹介