不倫慰謝料を巡る裁判で有利に進めるための防衛策

はじめに:不倫慰謝料裁判における防衛策の重要性

不倫慰謝料請求の裁判が行われる場合、被告(慰謝料請求を受ける側)にとって自身を守るための防衛策は極めて重要です。適切な防衛策を取ることで、不当に高額な慰謝料の請求から身を守ったり、状況に応じて減額や請求棄却を目指すことも可能になります。

本記事では、不倫慰謝料裁判を有利に進めるために、具体的な防衛策とそのポイントを分かりやすく解説いたします。

慰謝料裁判の基本的な流れと争点の整理

まずは裁判の大まかな流れと、慰謝料裁判で主に争われるポイントを整理しましょう。

不倫慰謝料裁判の主な流れ

  1. 原告が裁判所に訴状を提出し裁判が開始
  2. 被告が答弁書で自身の主張や反論を提出
  3. 双方が証拠を提出し、それに対する反論や主張を交わす
  4. 裁判所から和解案が提示される(事案による)
  5. 裁判所で尋問や証人審尋が行われる(必要に応じて)
  6. 和解交渉または判決へ進む

主に争われるポイント

慰謝料請求の裁判では、以下の争点が特に中心になります。

  • 不倫行為の事実の有無やその程度
  • 不倫行為によって原告側の夫婦関係が破綻したかどうか
  • 原告が請求する慰謝料額の妥当性

これらの点を適切に見極めて裁判に臨むことが重要です。

裁判を有利に進めるための基本的な防衛策

①事実関係や争点を十分に整理する

裁判で重要なのは、まず事実関係と争点を明確にし、整理することです。自身の主張を矛盾のないように整え、裁判官が理解しやすく提示しましょう。

②証拠の重要性を理解し、適切に収集・提示する

裁判では証拠が非常に重要となります。不倫行為の有無や程度などについて示された証拠に対し、以下のような防衛策を講じられます。

  • 不貞行為が行われていない、または軽微だったことを示す証拠
  • 夫婦関係が既に破綻していたことを示す証拠
  • 原告側が不倫を容認していた、または不倫を知りつつ放置していた事実を示す証拠(容認・宥恕の証拠)

具体的な証拠資料としては、LINEやメールの履歴、写真、手紙、通話記録、第三者の証言などがあります。

③夫婦関係の破綻を主張する

慰謝料請求の場合、元々婚姻関係が破綻していた場合には慰謝料請求が認められない可能性があります。婚姻関係破綻の証明として、別居期間(通常2年以上が目安)、家庭内別居の有無、別離を前提とした協議の存在などを具体的に挙げることが求められます。

④慰謝料請求権の時効を確認する

不倫慰謝料の請を求める場合、原則、不倫の事実と相手を知った時点から3年で消滅時効が成立します(民法第724条)。もし請求権の時効期間が過ぎている場合には、これを主張し裁判上の防衛策として活用できます。

慰謝料を適正な範囲内に抑えるための防衛策

①慰謝料相場と比較して金額の妥当性を争う

不倫慰謝料には一定の相場があります。慰謝料の金額が妥当かどうかを確認し、過大な請求である場合には、その旨を主張します。慰謝料の一般的な相場の例を以下の表でご紹介します。

あくまで、簡易にまとめたものですので、実際には事案により、検討する必要があります。

状況・被害の程度 慰謝料の一般的相場
軽度なケース(期間が短く、夫婦関係破綻なし) 50万円~100万円程度
中程度(継続的な不貞行為、夫婦関係に影響あり) 100万円~200万円程度
重度(夫婦関係破綻・離婚に至った場合) 200万円~300万円程度

相手方がこれを上回る過大な請求をしていれば、防衛策として慰謝料の減額を積極的に争いましょう。

②自己の経済状況・支払能力を適切に提示する

裁判で慰謝料の金額を決定する際には、支払う側の経済状況や資力なども考慮されます。現実的に支払いが困難な経済状況がある場合は、収入証明書や銀行口座履歴などを証拠として提出し、慰謝料の減額または支払い方法の分割を主張することが可能です。

防衛策の実行は弁護士への相談が効果的

不倫慰謝料を巡る裁判は、心理的負担が大きく、自分自身で行うのは現実的に難しいことが多々あります。経験を積んだ法律の専門家である弁護士に相談し、防衛戦略を練った上で裁判に臨むことが効果的です。

弁護士に依頼するメリット

  • 法的な主張と証拠の整理を確実に行える
  • 慰謝料の減額交渉や和解交渉も有利に進められる
  • 精神的な負担が大幅に軽減される

まとめ:裁判の防衛策を整え、適切な対応を目指しましょう

不倫慰謝料請求の裁判において有利な結果を獲得するためには、防衛策を慎重かつ冷静に準備することが必要不可欠です。十分な証拠収集や主張整理、時効の確認など、具体的な防衛策を講じることで、適正な裁判進行と結果を得られます。

当法律事務所では、不貞慰謝料に関する経験豊富な弁護士が全面的に支援いたします。初回相談は1時間無料で受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。

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