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はじめに:不倫慰謝料を一括で支払えない場合の分割交渉とは
不倫慰謝料の請求がなされた際、高額な慰謝料額を一括で支払うことが困難なケースは少なくありません。そのような場合、多くのケースで分割による支払いを検討されるでしょう。しかし、相手側も少しでも早く回収したいという気持ちが強く、分割払いには簡単に応じない場合も多々あります。
そこで本記事では、不倫慰謝料を分割で支払うための交渉を円滑に進めるための具体的な交渉術や注意点を詳しくご紹介します。
不倫慰謝料を分割払いするメリットとデメリット
まずは、不倫慰謝料を分割支払いする場合のメリットとデメリットを整理しておきましょう。
分割払いのメリット
- 一度にまとまった大金を準備する必要がなく、生活への負担が軽い
- 支払い期間が分散されることで、経済的な不安が軽減される
- 精神的な緊張感やストレスも軽減される可能性がある
分割払いのデメリット
- 支払いが長期間にわたるため心理的負担が継続する
- 相手にとって一括より不利なため、合意達成が難しい場合がある
- 支払いが滞ると法的措置(強制執行)をとられるリスクがある
これらのメリットとデメリットをよく理解したうえで、慎重に交渉を進めることが求められます。
慰謝料を分割払いにする際の具体的な交渉術
①明確で現実的な支払計画を提示する
相手が分割払いを受け入れやすくするには、具体的で現実的な支払スケジュールの提示が絶対条件です。そのためには、自分の収入や支出状況を把握し、毎月の返済可能な額を明確にした上で提案します。例えば、総額200万円の慰謝料を24回払い(月額約83,000円程度)で提案するなど、具体性を持つと相手側も安心できます。
②経済状況を明確に示す資料を提示する
慰謝料の分割払いを交渉する際には、収入証明や預金口座の明細書、家計簿など経済状況が分かる書類を具体的に相手側へ提示しましょう。これにより「本当に一括払いが難しいのか」という疑念を払拭し、信頼されやすくなります。
提出する主な資料
- 直近3ヶ月分の給与明細書
- 預金口座の通帳コピー
- 家計簿など月々の生活費を証明できる資料
③一部を頭金として準備し、誠意を示す
慰謝料を分割で支払うことを提案する際、一括で一定額を頭金として支払う提案をすると、相手に誠実さを示すことが可能です。特に総額の10~30%程度を頭金としてまとめて支払うことで、相手も納得しやすくなる場合が多いと思われます。
④支払いの期日を厳守する姿勢を示すため、公正証書を活用する
分割払いを確実なものにするために、公正証書(公証役場で作成する公式文書)の利用を提案すると、相手の交渉態度が柔軟になりやすいでしょう。公正証書の作成によって、支払いが滞った場合は直ちに強制執行が可能であり、相手の安心感が得られるため、分割払いに対する抵抗感が軽減されます。
⑤交渉は書面または弁護士を通じて行う
交渉内容は、書面やメールなど後に証拠として提示できる形式でやり取りしましょう。文書記録による交渉では曖昧さを排除し、後日のトラブル防止になります。また、相手側が交渉を拒否する可能性がある場合や、話し合いが難航している場合は、弁護士を介した交渉が有効です。
分割払いで合意が成立した後の注意点
分割支払いの合意が成立しても、以下のポイントに注意して確実な履行を目指しましょう。
- 支払い期日を必ず守り、遅延がないよう注意する。
- 万一支払いが難しくなった場合は速やかに相手側に連絡し、すぐに再交渉を行う。
- 分割払いの状況や支払い歴を記録し、支払い終了時まで保管する。
もし支払いが遅れたりすると、相手方がすぐに公正証書に従って強制執行(給与や財産の差し押さえなど)を行えることを忘れないでください。
自分自身での交渉が難しい場合は弁護士に相談する
慰謝料分割払いの交渉はデリケートな内容となります。相手方の感情も絡むため、当事者同士の話し合いでは合意の成立が難しいケースも多いです。そのため、交渉が難しく感じた場合には弁護士に相談することが最も効果的です。
弁護士に相談するメリット
- 相手側と冷静で客観的な交渉が可能になる。
- 適切な慰謝料額や分割の提示額をアドバイスしてもらえる。
- 交渉・示談書の作成から公正証書の作成支援まで一貫して対応可能。
まとめ:円滑な交渉で負担の軽減を図りましょう
不倫慰謝料を一括で支払うことが困難な場合であっても、適切な交渉術を活用して分割払いを実現することが可能です。具体的かつ誠実な提案を行い、公正証書などで信頼性を高めることが、交渉成功のカギとなります。
当事務所の弁護士は、依頼者の方、それぞれの経済状況やご希望に合った最適な分割払いの交渉をサポートいたします。初回の相談は1時間無料で承りますので、お気軽にご連絡ください。