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はじめに:不倫慰謝料を一括で支払えない場合はどうする?
不倫の慰謝料請求において、不倫相手側が金銭的に一括払いが難しく分割払いを希望してくる場合があります。慰謝料は、本来であれば一括での支払いが原則とされていますが、現実的には相手の経済状況などによって分割払いを認めざるを得ないケースも少なくありません。
ただし、安易に分割払いに応じてしまうと、途中で支払いが滞るなどのリスクもあります。そこで今回は、不倫相手に慰謝料を分割で支払わせる場合に押さえておくべき交渉のポイントを具体的に解説します。
分割払い交渉における重要なポイント6つ
不倫慰謝料を分割払いで支払わせる場合、下記のポイントを明確に押さえて交渉を進めましょう。
①分割払いの回数や期間を明確に決定する
まず慰謝料の総額を確定した後、分割払いの場合は支払い期間・回数を明確に設定しておくことが大切です。一般的な分割払いの例として参考になるのが、以下のような内容です。
- 10〜50万円程度の慰謝料:2〜5回程度の分割払い(数ヶ月〜半年以内)
- 50〜150万円程度の慰謝料:6〜18回程度の分割払い(半年〜1年半以内)
- 150万円以上の慰謝料:最大24回程度まで(2年以内)
あまりにも長期間の分割払いだと、支払いが滞るリスクが高くなるため、期間はできるだけ短めに設定するのがおすすめです。
②毎月の支払金額を明確に設定する
交渉の際は、毎月の支払金額を明確に約束させましょう。毎回同額にするなど相手が混乱しないように簡潔で明確な支払いスケジュールを作るのがポイントです。また、具体的な支払期日も書面上で決めておき、期日に遅れた場合にどうするかという点もあらかじめ明記しておくことが重要になります。
③分割払いにする場合は利息や遅延損害金を設定する
慰謝料は原則として一括払いが基本である以上、分割払いに応じる場合は利息や遅延損害金を設定することが妥当です。これにより、相手が支払いを遅延した場合の心理的プレッシャーにもなります。
参考として、一般的に設定される遅延損害金の年率は5〜10%程度となっており、利息の場合も年5%前後が妥当な範囲として考えられます。具体的に定める場合は契約書に利率を明記しておきましょう。
④支払いが滞った場合の対処法を明記する
分割払いの交渉時は、支払いが遅延した場合の具体的な対処法を交渉の段階でしっかり確認し、文書に明記しておく必要があります。記載例として、以下のような措置が一般的に取られるでしょう。
- 一定の回数(たとえば2回以上連続で)遅延した場合は、残額を一括請求する。
- 支払いが遅延した場合、支払い完了までの間、遅延損害金(年5〜10%など)を付加する。
⑤交渉結果は必ず書面(示談書)に残す
口頭での約束だけでは相手が後々支払いを拒んだり滞る可能性が高まります。分割払いの合意が成立したら、明確な内容を記した示談書(合意書)や公正証書を作成しましょう。
特に公正証書にする場合は執行認諾文言を付すことで、相手が支払いを怠った際に裁判所を通さずに直ちに強制執行が可能となります。そのため、可能であれば公正証書の作成をおすすめします。
- 公正証書作成費用の目安:2万〜3万円前後(公証役場による)
- 公正証書作成期間:問い合わせから数週間から2カ月程度で作成可能
⑥支払い能力の確認を忘れない
相手がきちんと分割払いを達成できるかどうかを確認するには、相手の収入状況や勤務先を開示させ、財政状況の把握をすることも重要です。源泉徴収票や給与明細書の提出を求めたり、必要ならば弁護士を介して資産状況の調査を行うことも選択肢です。
弁護士に分割払い交渉を依頼するメリット
不倫慰謝料の分割払い交渉を個人で対応することは精神的にも負担が大きく、また適切な対処が難しいことがあります。そのような場合、弁護士に依頼するメリットとしては下記のような点があります。
- 客観的で現実的な条件設定やアドバイスが得られる
- 公正証書など法的効力が強い書類作成までサポートしてもらえる
- 相手とのやり取りを完全に弁護士が代行してくれるため精神的な負担が軽くなる
- 支払いが滞った場合も法的措置をスピーディに講じてもらえる
まとめ:分割払い交渉は適切な条件設定が不可欠です
不倫慰謝料の分割払いを認める場合には、明確で適切な条件設定をすること、また相手の支払い能力をきちんと確認することが重要となります。また公正証書として文書を残しておくなど、万一の際に備えることも不可欠です。
当事務所は不倫慰謝料に関する交渉、自主交渉補助、公正証書の作成など、一括してサポートを行っております。初回相談1時間無料にて対応しておりますので、分割払い交渉で悩んだ際はお気軽にご相談ください。