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はじめに:意図せずトラブルに巻き込まれる不安
最近、マッチングアプリやSNSをきっかけに、相手が独身だと思って交際していたのに、後になって既婚者だと判明してしまったというケースが増えています。「相手が結婚していることを知らなかった」「知っていれば絶対に交際は避けたのに」といったお悩みをよく耳にします。
このような場合、多くの方が「知らなかったとしても、自分は責任を負わなければならないのだろうか?」という疑問や不安を感じることでしょう。ここでは、既婚者だと知らずに交際してしまった場合でも法的な責任や慰謝料請求が発生するのか、その判断のポイントと適切な対応策についてわかりやすくご説明します。
知らなかった場合でも慰謝料を請求される可能性はある?
慰謝料請求の仕組みと条件
一方が既婚者である場合の交際において、その配偶者は精神的苦痛を被ったとして慰謝料請求を行うことが認められています。このような慰謝料請求が認められるためには、原則として次の2つの点が重要な要素となります。
- 不貞行為(肉体的関係)があったこと
- 交際相手が既婚者であることを知っていたか、あるいは知らなかったとしても知ることができる状況にあったこと(故意または過失)
このため、仮にあなたが相手が既婚者であることを知らなかった場合でも、「注意を怠った(=過失がある)」と判断される場合には、責任が発生し慰謝料請求の対象となる可能性があります。
どのような場合に「過失あり」と判断されるか?
注意義務とはどのようなものか
法律上の責任の有無を判断する上では、「普通の注意を払っていれば、相手の既婚者という状況を知ることができたかどうか」が大きなポイントとなります。具体的には、以下のような状況があった場合には、慰謝料請求において「過失がある」とみなされる可能性があります。
- 相手が既婚者であることを疑うべき状況(服装や言動、住所を教えてくれない、時間が限定的など)がありながらも、何の確認もしなかった場合
- 周囲から交際相手が既婚者かもしれないと指摘されていたにもかかわらず、特に確認することなく交際を継続した場合
- 交際相手がSNSなどで家族の存在を示していたにもかかわらず、確認や問いかけを行わずに交際した場合
反対に、相手が積極的に「独身だ」と嘘をつき、あなたが確認できる手がかりもなく、客観的に見て騙されていた状況の場合には、通常「過失なし」と判断され、慰謝料請求を免れる可能性が高くなります。
既婚者だと判明した場合に取るべき対応方法
①判明したらすぐに関係を解消する
相手が既婚者だと知った後に交際や肉体関係を続けている場合は、「故意」とみなされ、慰謝料請求される可能性が非常に高くなります。そのため、すぐに関係を絶つことが最も大切な対応策です。
②「知らなかった」という証拠を集める
知らなかったことを証明することができれば、慰謝料請求を回避または軽減する可能性が高まります。したがって、以下のような証拠は必ず保管しておきましょう。
- 相手が独身だと説明していたメールやSNSメッセージの履歴
- 交際相手のプロフィール情報(マッチングアプリやSNS等での自己紹介など)
- 相手との会話や通話の録音データ(可能であれば)
- 既婚者だと知った時点ですぐに関係を解消したことが分かる履歴(やりとりなど)
③慰謝料を請求されたら弁護士に相談する
慰謝料請求が届いた場合、慌てて請求金額をそのまま支払う必要はありません。自分の状況を丁寧に整理し、できるだけ具体的な証拠とともに、法律の専門家に相談するのが最も効果的です。
責任が免除・減額される可能性のあるケース例
下記のようなケースでは、「知らなかった」「過失がない」と認められやすくなります。
- 交際相手が偽って独身を主張し、その根拠となるメッセージや書面がある場合
- 交際期間が短期間で、知らなかったことに無理のない状況の場合
- 交際相手が周囲にも独身であると振る舞い、第三者にも誤解を与えていた場合
まとめ:知らなかった場合でも責任回避は可能です
相手が既婚者だと知らなかった場合でも、状況によっては慰謝料請求のリスクがありますが、故意や過失がないことを証明できれば、責任を回避・軽減できる場合があります。
もし既婚者との関係が発覚し、不安を感じている方、慰謝料を請求された方は、ぜひ一人で悩まずに当法律事務所へお早めにご相談ください。当事務所の初回相談は1時間無料としておりますので、お気軽にご連絡ください。